食事は、非常に大事な事です。食事が困難になって食事を摂らないと、栄養不足となり、虚弱化、体力減退、過敏症、無気力、骨の脆化のもととなります。また、免疫力も低下します。ALSの患者にとって、決して良い事ではありません。
また、食事中、むせることがよく有りますが、ALSの患者の死因になることは、極めて稀ですので、積極的に、食べるようにしましょう。
気を散らしたり、話したり、笑ったりしないようにして、食事に集中します。集中しないと、むせたり、舌を噛んだり、時間がかかって、料理が冷めてしまったりします。
一般的に言って、飲み込む時は、(食器を見下ろすように)あごを下げる方が楽です。頭を左右どちらかに少し回してもいいでしょう。
筋肉の萎縮により、体重が落ちる事が予想されます。特に食事が取り難くなったら、食事の取り方について、主治医や栄養士と相談されることを、お勧めします。
水やお茶といった、さらさらした飲み物は、飲みにくいものです。牛乳やジュース等で、代用しましょう。
肉は、柔らかい方が食べ易いですが、大きいと噛み切れません。小さく切って、加熱し過ぎて硬くならない様、注意して料理しましょう。
魚は、煮魚の方が柔らかくて、食べ易いと思われます。骨は、舌が動かせなくて、口の中で外せないことが有りますので、予め、外しておく必要があります。
補助器具として、角度の付いたスプーンやフォーク、スポーク(スプーンの先端がフォーク状のもの)が市販されています。(福祉事務所等にカタログが展示されています。)カタログを見て、普通のものを、改造してもいいでしょう。(例えば、食物をスプーンですくい易くするため、皿の縁に、”返り”の付いたものがありますが、普通の皿の縁に、ラップをかければ、その代用になります。)
一度に多く食べられなくなってきたら、一回の量を少なくして、頻繁に、日に5、6回採るようにしてみるのも、いいと思われます。時間をかけ過ぎると、途中でいやになり、量を食べられなくなってしまいます。
錠剤の飲み込みが困難な場合、ポタージュスープの様な、濃い液体と一緒に飲むと、飲み易いと思われます。
疲れない程度の運動は、非常に有効と言われています。主治医と相談して、リハビリのための、自己訓練プログラムを作ってもらうといいでしょう。
また、リハビリも兼ねて、動ける間は積極的に歩く事も、良いと言われています。足が弱ってくると、転倒の危険がありますので、この場合、適当な転倒防止を行う必要があります。
ここで大切なのは、歩行能力を維持することより、自立心を保つと言うことです。適切に補助してもらって、家の周りなどを、動くように心がけると良いと思います。
滑らかな表面の靴下は滑りやすいと思われます。 スリッパやラバーソールの足になじんだ靴が、一般的にいいと思われます。
滑らかなタイル張りの床はもちろん、クッションの厚いカーペットやラグ、段差のある床などは、障害になります。
手すりは、滑り易い床や段差のある床、階段、廊下、トイレ(立ち上がる時に持つ)などに取り付けます。 壁が、石膏ボードなどで出来ていて、釘で止められない場合は、壁の端から端まで届く板を用意し、その上に取り付けます。壁の両端は、裏打ちされているはずですから、そこに板を打ち付けます。(柱だけで、壁がない場合も、この方法で取り付けます。)
歩行器には、病院にあるような、サークル状のものから、手押し車のようなものまで、色々の種類が売られています。足で体を支えられる間は、車椅子より、小回りが利いて、室内では使い易いかも知れません。(電話や、リモコン、本などの)ものを運ぶトレイやかばんが、付いたものもあります。
一般にオーダーメイドになりますが、身障者手帳を持っていると、費用は、一部負担で済みます。電動式と手動式がありますが、(手動しか使った事が無いので)どちらが良いかは分かりません。
サニタリー用品は、便利なものが市販されています。福祉事務所などでカタログを手に入れると、便利です。
電動歯ブラシ、電気シェーバーは、一般的なものを持ち易くして使えます。洗顔ブラシやスポンジも、有れば便利と思われます。
ウォシュレットを用意します。地域によっては、福祉器具として、市が一部負担をしてくれます。
滑り止めシートや、浴室用椅子、簡易手すり等、市販されています。また、訪問看護婦さんや保健婦さんに、尋ねると、入浴を助けるアイデアを教えてもらえます。
衣服は、ちょっとした工夫や修正で、身につけ易くなります。
Tシャツや下着、靴下などは、サイズの大きなものにすると、着易くなります。
腰ゴムの入ったズボンや、スウェットパンツなどを履くと、楽です。
ボタンやファスナーの代りに、マジックテープ使うと、便利です。
このページはDoug Jacobson 氏のホームページ
に掲載されている、Dr.D. Eric Livingston 氏の文章の”ALS:A Guide for Patients”の中の ”Practical Tips ” と、私の得た情報を加えて作成したものです。和訳に際し、専門用語や英語的表現で、正確に訳せなかった部分や、誤訳、勘違い等が、あるものと思いますが、お許し下さい。意見、感想、間違いのご指摘はメールにてお願いします。特に生活に関するアイデアがありましたら、順次、掲載して行きたいと思っています。
|